価値を伝える価格戦略と発信力セミナー開催レポート

台風接近の中、売らない販促の極意を学ぶ

2024年8月28日、台風10号が日本に接近する中、広島市の合人社ウェンディひと・まちプラザにて、「価値を伝える価格戦略と発信力セミナー」(主催:広島市産業振興センター)を開催いたしました。悪天候にもかかわらず、創業予定者から企業経営者まで、様々な業種から25名ほどの方々にご参加いただきありがとうございました!

実は、台風の接近により、セミナーの開催自体が危ぶまれる状況(オンラインに切り替えるか延期するか)でした。私自身、東京から広島への移動に不安がありましたが、なんとか無事に広島に到着し、皆様とお会いできてほっといたしました。

今回のセミナーでは、ライバルとの激しい価格競争から脱却し、提供する価値に基づいた価格設定で利益を残す方法について、3時間にわたって講義をさせていただきました。参加者の皆様の真剣な眼差しと積極的な姿勢に、講師として大変励まされ感謝です!

コミュニケーションの重要性

セミナーの冒頭では、コミュニケーションの重要性について触れました。特に印象的だったのは、「うなずきと合いの手」の効果です。適切なうなずきと合いの手を入れることで、客単価が8.8倍にまでアップした事例を紹介しました(もちろん実際に8.8倍までは難しいですが)。また、「すれ違いざまに褒める」というシンプルな行動が、コミュニケーションを円滑にする効果があることもあわせてお伝えしました。

また取引先との関係性を良好にするために「7つの友情項目」という概念も紹介。これは、人との関係性を構築する上で重要な7つの共通項目であり、ビジネスにおいても、この概念を活用することで、顧客との関係性を深めることができます。

さらに、「優位感覚」について解説しました。視覚優位型、聴覚優位型、身体感覚優位型など、人によって情報の受け取り方が異なることを理解し、それぞれのタイプに合わせたコミュニケーション方法を選択することで取引先の興味関心に合わせた提案が可能となります。

付加価値の本質を探る

セミナーの本題に入り、まず「付加価値とは何か」というテーマで議論を深めました。ここでは、「バナナハンマー」や「マーマイト」、「駅弁」といった具体例を挙げながら、付加価値の本質について考えました。

特に印象的だったのは、「役に立つ」と「面白い」という2つの要素が、付加価値を生み出す重要な要因であるという点です。また「比較」の世界に入ってしまうと競合が増え、価格競争に陥りやすくなるため、付加価値を打ち出す際には「好き嫌い」の世界に持ち込む重要性をお伝えさせていただきました。

ビジネスの現場に即して考えると、現場の従業員は休みが減らない、管理職は評価が下がらない、経営者は利益が出るという、それぞれの立場にとって「付加価値」が異なる点も重要なポイントです。

高付加価値・少数販売の戦略

価格戦略の核心部分として、「高く、少数に売る」という考え方を提示。これは、1万人に1人の「良い顧客」を獲得するという戦略です。良い顧客とは、適正な価格で購入し、手間のかからない顧客を指します。この戦略の具体例として、齋藤石材店の「石臼コーヒーミル」を紹介しました。相場のない商品でも、独自の価値を見出し、適切なターゲットに向けて販売することで成功を収めた事例です。

また、地方の酒屋がDXを活用して都市部の顧客にアプローチする方法についても解説しました。商圏分析とラクスルを活用した効果的なマーケティング手法は、参加者の皆様から大きな反響がありました。

デジタルとアナログの融合

価格戦略を考える上で、デジタルとアナログの融合は避けて通れないテーマです。SNSなどのデジタルツールも、結局はアナログでのクチコミ効果を狙ったものであるという視点を共有しました。

ここでとくにポイントになるのが「プロセスエコノミー」という概念です。製品やサービスの背景にあるストーリーや過程を見せることで、付加価値を高める手法です。この考え方は、多くの参加者の方々の関心を集めていました。特に不景気になると人は「失敗したくない」という点の優先順位を高めます。したがって、老舗(歴史というプロセスエコノミー)や権威が推薦している(しっかりとした経歴を持つ人の推薦)などが重要な要素となります。また経営者の経験や歴史なども重要な判断基準になっていきます。いまのような先行き不透明な時代には、この切り口を優先的に打ち出すことも考えるとよいでしょう。

BtoBとBtoCの違いを理解する

価格戦略を考える上で、BtoB(企業間取引)とBtoC(企業対消費者取引)の違いを理解することは非常に重要です。BtoBでは不安の解消が、BtoCではメリットの提示が重要になります。

特に興味深かったのは、BtoBの取引において、意外なほど合理的には行動しないという点です。この洞察は、多くの参加者にとって新鮮だったようです。

価格戦略の実践的アプローチ

価格戦略の実践的なアプローチとして、相場がある場合の「松竹梅戦略」について詳しく解説しました。その他、強調したのは、「10年経っても忘れられない関係をつくる」ということです。ただし、「ソリューションの墓場」に陥らないよう、「チャレンジャーセールスモデル」の考え方を取り入れることの重要性も指摘しました。

AIを活用した営業力強化

セミナーの最後には、AIを活用した営業力強化について解説しました。特に好評だったのは、ジャイロ総合コンサルティングで開発した「AI営業ロープレ」の体験です。参加者の皆様には、その場でAI営業ロープレを体験していただき、ゲームのような感覚で楽しみながら学んでいただきました。

このAI営業ロープレは、実際の営業シーンを想定したシミュレーションを行うことができ、参加者の皆様からは「実践的で学びが多い」「楽しみながら営業スキルを磨ける」といった感想をいただきました。

以下のように、シチュエーションが具体的に設定されてAIが商談相手、受講者が営業役をしながら価格交渉を行うという内容でリアリティがすごいとびっくりされていました。

価格戦略セミナーの成果と今後の展望

3時間にわたるセミナーでしたが、参加者の皆様の熱心な姿勢に支えられ、充実した内容となりました。価格戦略は、単に数字を操作するだけでなく、顧客との関係性構築や付加価値の創造など、多角的な視点が必要です。

今回のセミナーを通じて、参加者の皆様が自社の価格戦略を見直すきっかけとなれば幸いです。また、AIを活用した新しい営業手法にも触れていただき、これからのビジネス環境の変化に対応する準備ができたのではないでしょうか。

最後になりましたが、台風接近という厳しい状況の中、セミナーにご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。皆様の熱意と積極性が、このセミナーを成功に導いたと確信しています。私自身、広島に無事到着し、皆様とお会いできたことを本当に嬉しく思います。この経験は、困難な状況下でも価値ある取り組みを実行することの重要性を再認識させてくれました。

今回学んだ内容を、ぜひ明日からのビジネスに活かしていただければ幸いです。今後も、皆様のビジネスの成功を支援できるよう、より良いセミナーを企画してまいります。次回のセミナーでも、晴れた空の下、皆様にお会いできることを楽しみにしています。

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