起業・経営革新と、プラットフォーム型ビジネスの可能性
プラットフォーム型ビジネスが注目されている。
プラットフォーム型ビジネスとは、モノあるいはサービスの利用者と、その提供者をつなぐ基盤
(プラットフォーム)を提供するビジネスを指す。特に、インターネットを活用して、広い範囲に
情報を提供して利用者と提供者を結び付ける。
例えば、「ラクスル」は、チラシなどの中小の印刷業者やポスティング業者と、なるべく安価に
印刷・配布したい事業会社をつないでいる。また、「クラウドワークス」は、個人を含む特定
領域の専門家と、大手企業を含む事業会社とつないでいる。Line、FacebookなどのSNS系
サービス、楽天、Amazonなどのショッピングモールなども、この範疇に属すると言われる。
上に挙げたプラットフォーム型ビジネスの事業者は、いずれも有名企業だが、新たな参入者も
相次ぐ。「Creww」は社内資源が不足しているベンチャー企業を対象として、大企業が持つ
生産設備などの経営資源を活用してもらう「出会いの場」を提供するビジネスを立ち上げている。
この例のように、アイデア次第で新たなプラットフォーム型ビジネスの可能性が広がる。
先日、私が講師を務めた「創業塾」で、ある女性が創業アイデアを披露した。それは、地域の
飲食店などを創業希望者に、商店街などで廃業を考えている店舗経営者を紹介することで、
新たな店舗を見つけるための手伝いをする、というものであった。成功するかどうかは
不明だが、地域活性化に狙いを定めた優れたプラットフォーム型ビジネスに属する
事業アイデアだと思う。
僕も起業を目指すほど若ければ、新たな事業アイデアを考えてチャレンジしたい。でも
起業するには制約が多すぎる……。自分自身の年齢を考えること自体が、我ながら
情けない。自分のことはともかくとして、これほどまでに、プラットフォーム型ビジネスの
可能性は拡がっている。
このようなプラットフォーム型ビジネスが注目されてきたのは、インターネットの広い
範囲での利用が最大の要因であるが、メーカーや小売業などの従来型ビジネスの
変容や行き詰まりも挙げられる。すなわち、自社の従来の顧客層に、従来の自社
商品・サービスを提供するだけのビジネスモデルでは、市場規模の縮小が避けられ
ない状況に陥っている時代背景がある。その隘路を埋める形で、より広範囲の
商品・サービスをより広範囲の顧客に提供できる、というプラットフォーム型
ビジネスの特性がマッチしたのだろう。
そういった観点で言えば、従来型の企業がプラットフォーム型ビジネスという事業
形態を新たに加えることで、現状を打破する可能性が拡がる。例えば、経営不振の
洋品店が、自店の商品だけを販売するのではなく、地域の他の洋品店と連携して、
商品の品揃えを拡大するようなことも、立派なプラットフォーム型ビジネスと言える。
プラットフォーム型ビジネスが成功するには料金体系、すなわち儲けの仕組みが
重要な要素だろう。できれば利用者から料金を取らない、いわゆるフリー戦略を採用
する。広告収入などで事業が成り立てば良いのだが、難しければ成功報酬を
採用するなどの工夫だ。
これから起業を目指す方、特に事業アイデアを作り上げたい方は、ぜひ「プラット
フォーム型ビジネス」をとことん考えていただき、可能性を追求してもらいたい。
そのような時代に突入しているのだ。
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