「中高年女性の採用が中小企業を救う!? スキルベースで人材戦略を変革する」

渋谷ブログ講師ブログ

近年、日本の中小企業は深刻な人手不足に直面しています。帝国データバンクの調査によれば、2023年には人手不足を要因とした倒産が260件に上り、過去最多を記録しました。この状況下で、中小企業の生き残りをかけた人材戦略として注目されているのが、中高年女性の採用です。

なぜ中高年女性なのか?

総務省の統計によると、50歳~64歳の女性人口は1248万人にも上ります。この層は、豊富な実務経験を持ち、組織内外で多様な人材との関わりを持ってきた貴重な人材です。また、脳科学的にも女性はコミュニケーション能力に優れるとされ、VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の時代において、新たな発想でイノベーションを起こす可能性を秘めています。

さらに、中高年女性の就業率は25~44歳の79.8%と比べて、15~64歳では72.4%と7%以上低くなっています。つまり、中高年女性は比較的採用しやすい層であり、中小企業にとって貴重な人材となり得るのです。

スキルベースマネジメントの重要性

従来のジョブ型雇用では、職務を定義してそれにふさわしい人材を登用していましたが、近年注目されているのがスキルベースマネジメントです。これは、人材のスキルをベースにして、それに合ったジョブを割り当てるマネジメントスタイルを指します。

中小企業が中高年女性を効果的に活用するためには、まず自社に必要な人材像とスキルを明確に定義することが重要です。例えば、コンセプチュアルスキル(概念化能力)、ヒューマンスキル(対人関係能力)、テクニカルスキル(業務遂行能力)などの観点から、必要なスキルを具体的に定義しましょう。

効果的な募集と面接のポイント

中高年女性を採用するためには、従来の採用方法を見直す必要があります。以下のポイントに注意しましょう:

  1. 募集要項では、柔軟な勤務形態や経験を活かせる点をアピールする
  2. 面接では、応募者の話に耳を傾け、オープンクエスチョンを多用する
  3. 自社のビジョンや将来性を熱意を持って語る
  4. アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に注意する

特に面接では、面接官が評価されているという意識を持つことが大切です。応募者に「この会社で働きたい」と思わせる魅力的な組織であることをアピールしましょう。

人事評価制度との連携

中高年女性の採用を成功させるためには、適切な人事評価制度との連携が欠かせません。スキルベースマネジメントに基づいた評価基準を設定し、定期的なフィードバックを行うことで、中高年女性の強みを最大限に引き出すことができます。

また、キャリア開発・キャリアデザイン研修を実施することで、採用した中高年女性のモチベーションを高く保つことができます。50代、55代、60代、65代といった節目ごとに、なりたい自分像を描き、そのために必要なスキルを明確にすることで、個人と組織の成長を促進できます。

災害対策・危機管理における中高年女性の活用

中高年女性の採用は、災害対策や危機管理の観点からも有効です。例えば、2024年1月の羽田空港での日本航空機の事故では、客室乗務員の冷静な対応が乗客の安全な避難につながりました。この事例は、中高年女性が持つ経験と冷静さが、危機的状況下でいかに重要かを示しています。

中小企業においても、BCP(事業継続計画)の策定や実行において、中高年女性の経験と判断力を活かすことができるでしょう。彼女たちの多様な経験は、想定外の事態にも柔軟に対応できる強みとなります。

成功事例に学ぶ

実際に中高年女性の活躍を推進している企業の事例を見てみましょう:

  1. 三笠運輸株式会社:女性ならではの細やかな接客が荷主から好評を得ており、職場環境の改善にも取り組んでいます。
  2. 株式会社江崎新聞店:配達のみのSP職、配達と顧客管理までのRC職、子育て支援を厚くしたMPC職など、多様な働き方を提供しています。
  3. 千代田タクシー株式会社:介護タクシーや子育てタクシーなど、女性の視点を活かしたサービスを展開し、「8時~17時」を原則とする働きやすい環境を整備しています。

これらの企業に共通するのは、中高年女性の特性を活かした職場環境の整備と、柔軟な働き方の提供です。

最後に

中高年女性の採用は、中小企業にとって単なる人手不足対策ではありません。彼女たちの豊富な経験とスキルは、組織に新たな視点をもたらし、イノベーションの源泉となる可能性を秘めています。

しかし、採用して終わりではありません。適切な評価制度と継続的なキャリア支援を通じて、中高年女性が自身の可能性を最大限に発揮できる環境を整えることが重要です。そうすることで、中小企業は人材不足を解消するだけでなく、組織全体の活性化と競争力の向上を実現できるでしょう。

中高年女性の採用を検討する際は、自社の人材戦略を見直し、スキルベースのマネジメントへの転換を図ることから始めてみてはいかがでしょうか。それが、貴社の新たな成長への第一歩となるはずです。

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