農商工連携を成功させるポイント(後半)

地方に出かけて研修会の講師を務めさせていただく機会が多い。私は先週、2日間青森県で研修会を行った。その研修会は、特に農商工連携を狙ったものではないが、やはり地方の産業活性化には、特産品、特にその地方固有の農産物などを活用した産業活性化の施策を考えておられる方が多い。しかしながら、うまく活用している方は少数である。もっとも、事業が順調な方はこのような研修会を受講されないのかも知れないが。
あらためて感じたのは、地方には本当に良いものが数多い。しかし、広く知られていないものが大半である。どのようにすれば、多くの人々に知っていただき、それを事業として大きく育てることができるのであろうか。
重要なキーワードは、“ブランド化”であろう。ブランドと言っても、ヴィトンやシャネルなどではない。一部の方に支持されること、すなわちファンを作ることである。地方ブランドを作るには、次の施策が欠かせない。
○こだわりを持つ
○限定品である
○ストーリーが語れる
○ITを活用する
順に説明する。

こだわりを持つ

こだわりを持つには、「こころざし」が基本となる。評判になるほどの美味しさを生み出すには、美味しさへの「こころざし」を元にしたこだわりが必要になる。
こだわりとは、次のようなものである。
○仕入(材料)へのこだわり
○作ること(作り方)へのこだわり
○売り方へのこだわり
○お客様の好みへのこだわり
○管理手順へのこだわり
○お客様との関係づくりへのこだわり
こだわりを持つ商品・サービスを実現するには、次のステップを実現することになる。
(1) 限定品となり得る「こころざし」を持つ

(2) テーマ・主張・コンセプトを明確にする

(3) 限定品に向けた試行錯誤

(4) こころざしの実現

(5) こだわりの限定品の販売

限定品である

希少性のある商品・サービスを提供できれば、ブランド化できる可能性が広がる。この希少性を実現するには、限定品であることが必要になる。
とにかく、何でも良いので、限定できる何かを見つけることから始めることが重要といえる。材料、産地、製造者、メニュー、生産・販売時期、販売数など何でも良いので、この商品が限定されているとお客様に訴求することが必要となる。
(1) 普通の中小企業

(2) 限定品としての販売

(3) 限定品としての評判

(4) 希少性の実現

(5) 商品・サービスのブランド化

ストーリーが語れる

人気のあるブランドには必ず物語(ストーリー)がある。例えば、サントリーウィスキーの「山崎」のサイトを訪問すれば、歴史(8ページ)、山崎の地(4ページ)、匠の技(8ページ)の計20ページのストーリーが綴られている。
中小企業に「ストーリーを語れ」と言っても戸惑うかも知れない。無理やりストーリーを作っても、何かちぐはぐなものになりかねない。ストーリーの作成には、全く奇をてらう必要も、面白いことを意識する必要はなく、ありのままを語ることが始める。
ただし、自分では当たり前と思うことでも、他から見れば興味を持ってもらえるかも知れないので、まずストーリーを作ることから始める。
ストーリーはただ語る・文章化するだけでは完結しない。お客様が認知して、他の方に語ることができるまでが必要となる。ブログなどがこの方法に挙げられるが、いづれにせよ、長い日時を要すると覚悟することになる。
(1) 商品・サービスのありのままをストーリー化

(2) 冊子・カタログ・ネットなどで公開

(3) 機会あるごとにお客様に紹介

(4) お客様が認知し、他に語ってくれる

(5) 商品・サービスのブランド化

ITを活用する

先に述べた「こだわりを持つこと」「限定品であること」「ストーリーを語れること」は、人に訴えることが重要な要素であり、大企業であれば、TVコマーシャルで大々的に宣伝することも可能となるが、中小企業では容易でない。そこで、強力な武器としてIT活用がある。
具体的には、次のような手段となる。
○Webで、こだわり、限定品、ストーリーを訴求する
○ブログを利用し、「人が語る」を演出する
○販売場所などで、生産工程などのDVD映像を流す
○YouTubeなどで、映像を公開する
IT活用での留意点(特にブログでの)を次に挙げる。
○オープンであること
⇒自社、特に経営者自らが語っているということ。商品・サービス紹介に偏らずに、会社の成り立ち、今興味を持っていることなどを幅広く発信する。また、社員全員のブログ開設も有効かも知れない。
○継続すること
⇒継続して発信頻度を高めること。継続はなかなか難しいのですが、継続しないとお客は離れる。
○あまり力を入れすぎない
⇒力を入れすぎると継続そのものが難しくなる。あくまで気楽に、思いついた機会、内容を発信すること。直ぐに売上に結びつかないかも知れないが、余力を残しておくこと。

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