新規創業者にはPDCAを勧めるな!

新規創業者が成功するためにはPDCAでは遅すぎる

ビジネスの世界ではPDCAサイクルが重要であると昔から神話のように語り継がれてきました。
Plan(計画)−Do(実行)−Check(評価)−Act(改善)の4つを繰り返すことで業務を改善して
いく方法論なのですが、この方法論は生産ラインの改善から生まれたサイクルなのです。しかし、
このサイクルのデメリットは、想定外の予期せぬことに対する対応が難しいということ。

先が読みやすい状況(高度経済成長期やビジネスが安定している企業)では非常に使いやすい
方法論ですし、一般的なビジネスマンの業務効率アップなどであれば十分に有効だと思います。

しかし新規創業者に対して、PDCAを薦めてしまうと、事業計画が想像上の机上の空論となり、
現実性と乖離したものになりがちです。もしもその机上の空論計画書のとおり実行したとしたら
どうなるでしょうか。実際に創業者の事業計画書を読んでみると机上の空論、楽観的な数字や
文言が並んでいて確実に成功しないものが多く見られます。

しかも、事業計画書を丁寧に作り込んでいる人ほど、計画にない事態が起きてしまった際に、
軌道修正が難しくなってしまいます。想定外の事態に弱いのがPDCAサイクルです。

このようにPDCAのような改善サイクルでは、先の読めない創業時ではマイナスに働く
可能性が高いということです。

 

新規創業者にはOODAループがお勧め

そこで、創業者に対して、私は「OODA(ウーダ)ループ」というものを提案します。 これは
米国空軍のパイロットであるジョン・ボイドが提案したもので、変化の激しい状況に適した
意思決定理論です。

Observe(監視)−Orient(情勢判断)−Decide(意思決定)−Act(行動)という流れを
ループさせていく方法論であり、非常に高い実効性が実現できます。

例えば、新規に飲食店を開業させたいという新規創業者が居た場合、PDCAサイクルで
考えれば「まずはしっかりと計画を作りましょう」(Plan)というアドバイスとなります。
一方、OODAループでは「まずは実際にお店の候補地に行って通行人や人通りを
定点観測してみましょう」(Observe)となります。

さらに、PDCAの場合ですと、「しっかり計画ができたのでこれで資金調達してやって
みましょう」(Do)と進みますが、OODAであれば「通行人の層は年配が多そうなので、
出店するお店のコンセプトは◯◯だとどうだろうか?夜の通行客が多いな?近隣の
お店に似たようなコンセプトの店があるな。」と情勢を判断(Orient)します。

続いてPDCAでは「はじめて見たけれど予測と違ったので、そこを改善するためにリニュー
アルしましょう。(評価&改善)」と流れています。一方、OODAでは「この付近で来週の
火曜日に試食会をやってみて実際に通行人の反応を確認してみましょう。(decide)」
という意思決定を行い、実際に火曜日に試飲会をやりながら(Act)またループの始めの
オブザーブ(監視)に戻るわけです。試食会をしている最中、「思ったより売れ行きが
悪いな〜(Observe)。もしかしたら、もう少し別の商品が良いかもしれないな。(Orient)
よし!来週の試飲会では、別の食材を使って再度やってみよう!(Do)」とループが
流れていくわけです。

先が読めない時代には、じっくり立てた計画がそのまま遂行される可能性が低くなって
しまいます。今のように、一寸先が読めない時代には、「現状を監視する力」「現状から
予測する力」「そこから手を打つ決断力」そして「即実行に移す実行力」が求められて
いますし、そのループを短時間で回していくことで、世の中の流れに対応した柔軟な
経営ができるようになるのです。

全国各地の創業塾や創業セミナーで新規創業者にお会いするのですが、時代や事業に
対応したアドバイスが必要不可欠であると実感します。地域の商工会や商工会議所
担当者の皆様には、ぜひ「OODAループ」を参考にしていただけますと幸いです。

 

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