商工会や商工会議所の会員化率を上げたい!!

渋谷ブログ講師ブログ

日本全国の商工会や商工会議所にてもうかれこれ10年以上、毎年多くの講演会講師として
登壇させていただいています。これだけ長くお付き合いしていると、現場の悩みを相談
されることも間々あります。

そうした中で大きな課題となっているのが『組織化率』です。相互扶助団体としての
一面を持つ商工会や商工会議所にとって、企業の新規会員化は大きな使命であり、
会員の会費によって運営されているという点などから見ても、地域事業者の会員化を
促進していくことは重要な課題です。

しかし、多くの商工会、商工会議所では、地域の事業者回りを中心に地道に勧誘して
いく方式を主流としているにもかかわらず、事業者自身の高齢化や後継者不在により
あらたな加入を獲得することが年々難しくなっていると聞きます。

商工会や商工会議所でも、時代に合わせて変化していく必要性が出てきています。

先日ある話を聞きました。
もともとは商店街で小さなお店を経営していた社長が高齢化のため、息子に事業を
譲ったそうです。これまでの社長は商工会との繋がりも深く、様々なイベントに顔を
出すなど地元では名士であったようです。
しかし、息子が代を継いだ途端に、連絡が取れなくなり、商工会の会員もやめてしまい
ました。実は息子世代は、商工会というものは地域のお祭りを運営するための会だと
思っていたそうで、商工会がどのような支援や体制をしているのかまったく理解
されていなかったのです。

さらに驚いたことに、2代目になると商店街の店舗のシャッターを降ろすことも多くなり、
開店休業状態となってしまったのです。とうとうあのお店も閉店か…と経営指導員が
落胆していた所、意外な情報が入ってきたのです。

実は、店舗を物流(配送センター)機能として活用し、販売自体はインターネットを
使っていて、BtoBやBtoC向けに販路を拡大させることに成功している、というのです。
売上も急拡大しており好調だ、ということを人づてで聞いたのです。

早速、経営指導員は息子のもとへ訪問し、改めて会員になって欲しいと訪問して
みました。すると新たな社長(息子)が、経営指導員を試すように、インターネット
ビジネスに関する説明を始めました。そして、最後にインターネットを活用した
ネット活用についてアドバイスを求めたのです。その経営指導員は、インターネットの
知識を持っていなかったので、息子世代の話についていくことが出来ず、結果として
会員勧誘は失敗に終わりました。

今の時代において、インターネット活用は事業者にとって必要不可欠なツールと
なっています。また以前は実店舗を有していた企業であっても、取引の舞台をネット
上に移行させているケースが増えています。しかもこれらのケースでは、経営指導
員はアドバイスできる分野が限定されてしまいますし、足でそのような情報を稼ぐ
ことも難しいのです。インターネットへ転換することでビジネスが大きくなっている
事業者であるにもかかわらず、会員として加盟させることが難しくなっているのです。

全国を講演会で回りながら、ネット関係の事業者の会員化率を聞いてみると、ほとんど
会員化できていないと聞きます。何故ならば、実態がつかめないので訪問ができない
という状況なのです。また、事業者にとっても、実は商工会や商工会議所がどれほど
有益な組織なのかが理解されておらず、ネット事業者には関係のない組織だと
思われていることが多々あります。

今後は、徐々に新たな業態や業界が生まれていくはずです。そこでひとつの提案が、
部会の再編です。これまでの部会では、商業部会や建築部会、製造部会、など
業種で編成されていましたが、企業の中に、製造部門と小売部門を持っているなど、
事業が多岐にわたる企業も増えており、一括にはできなくなってきています。
もちろん現在ある部会は維持するとしても、別に「コト型」の部会を考える時期に
きているのも事実でしょう。例えば、EC(イーコマース)部会のように、業種や業態
関係なくインターネットを活用する事業者や今後活用したい事業者が集まる部会が
あっても、良いと思います。

多くの事業者が時代に合わせて変化していく中で、地域の商工会・商工会議所も、
時代に合わせた知識の習得や、事業形態の変化に合わせた会員化促進の仕組みを、
検討する時期に来ているのではないでしょうか。

 

 

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