キャッシュレス決済導入シリーズ〜キャッシュレス決済導入でビジネスモデルを変えていこう
国を挙げて行われているキャッシュレス・消費者還元事業。しかし小売店舗でのキャッシュレス決済対応比率は3割弱に留まっており、日本国内のキャッシュレス決済の一般化は未だ難航しています。今後キャッシュレス決済の浸透を進めていくために、ジャイロ総合コンサルティング講師陣が様々な視点から考察を深めていきます。
今回の筆者:渋谷 雄大(しぶや たけひろ)講師
キャッシュレス決済で利便性消費に対応しよう
2019年から2020年は日本にとって大きなビジネスモデルの変革期を迎えています。
平成において時代の寵児と呼ばれていた、鳥貴族、いきなりステーキの低迷。Forever21が破産申請の準備をしているとのニュース。ZOZOの前澤社長
退任。などなど。
平成から令和に変わりビジネスモデルの変革が大きく進んでいるように感じます。
昭和から平成に変化した時も、ダイエーの凋落、楽天市場やソフトバンクなどビジネスモデルが転換した時期です。
そしてビジネスモデルを考えた時には「消費者の買い方」の変化がキッカケになることが多いんです。
今回のキャッシュレス決済に関しては、まさしく、消費者の買い方革新と言えます。国が推し進めているキャッシュレス・ポイント還元事業を受けて、PayPayをはじめとして各社ともキャッシュレス決済導入に躍起になっています。
様々なトラブルがありつつも、消費者の中に確実に浸透しはじめているキャッシュレス決済。今後、決済の主流になっていくことは確実です。
野村證券が数年ごとに調査しているデータがあります。ここでは「利便性消費=少々高くても利便性を重視する」とするスタイルが2015年から44%と高い数値を維持している一方で、安さ納得消費や撤退探索消費は低推移。プレミアム消費は22%と頭打ちになっています。ただし共働き世代はプレミアム消費が微増しています。
この調査からもキャッシュレス決済という利便性を高める手段は必要不可欠であるといえます。
「4つの消費スタイル」分布の推移
出典元 https://webtan.impress.co.jp/n/2018/11/13/31031
キャッシュレス決済で価格の見直しをしよう
ちょっと勉強した人なら分かると思いますが、「松竹梅」というプライシング戦略があります。
今回のキャッシュレス決済導入と「松竹梅」戦略はうまく絡めていくことでお店の客単価アップに加えて新規顧客の開拓につなげることができます。
今回の消費税増税では、松竹梅の見直しをまずしてもらいたいです。
今の商品は「梅」の位置付けに置き換えます。
そして新たに「竹商品」と「松商品」を加えましょう。
価格設定は3:4:6という比率がベストと言われています。
900円、1200円、1800円
600円、800円、1200円
と言ったような価格設定です。
この場合に大切になってくるのが、松竹梅は別の商品にするという点です。
吉野家の価格戦略はほぼ3:4:6になっています。
梅:牛丼、竹:月替わり定食、松:うな丼など
このように客層そのものをズラしていくのが価格戦略です。
ここで登場してくるのが、キャッシュレス決済です。
JCBの調査でキャッシュレス化が大きく進んでいるの世代が2つあります。
それは30代と60代なんです。
30代はイメージが湧くと思いますが、60代のキャッシュレス化も大きく進展しています。どちらの世代も流行に敏感な世代で、新しいものを積極的に試していきたい世代なんです。
そういう意味では納得のデータです。
地域の商店や飲食店がキャッシュレス決済を導入しない大きな理由として、「うちのお客はキャッシュレスなんて使わないよ」という話です。
しかし60代のキャッシュレス化が進んでいるということは、地域に住んでいる60代も隠れキャッシュレス派が増えているということです。
もう一つ、インバウンド需要への対応です。
これもあるデータで示されているのですが、外国人の宿泊者数の伸び率は都心部よりも地方部が大きな伸びを示しています。要するに、外国人は一般的な観光地よりも地方部の隠れた名所を探しはじめていると言えます。
これは実際にある商工会議所で講演会をした時に発覚したのですが、実はアジア系の外国人が増えているのに、地元の商店ではそのアジア系の外国人を日本人だと思っていたということです。
一目で外国人だということが分からず、実際には結構歩いていたにもかかわらず、全く気がつかなかったそうです。本当は自分たちの街にも訪れているのに気がついていないということも多々あるんです。
松竹梅戦略でぜひ考えて欲しいのが以下のような商品開発と価格戦略です。
- 「梅」はこれまでの地元のお客様を対象にした商品据え置き
- 「竹」はキャッシュレス決済導入によって地元に隠れている新たな30代、60代の開拓商品
- 「松」はインバウンドを中心とした高価格帯を見据えたワンランク上の商品
ぜひ価格戦略の見直しを今からでも考えてみてください。
人不足にもキャッシュレス化は有効
JCBの調査で、現金払い、クレジットカード、非接触型決済、QRコード決済の決済速度を計測する実証実験を行いました。
各決済方法を比較した結果
出典元 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1909/03/news080.html
現金と比較しても圧倒的な決済速度です。
ちなみに最小値は、非接触は6秒、クレカは9秒、QRは12秒、現金は15秒。最大値は、非接触は10秒、クレカが19秒、QRが32秒、現金は40秒となっていて、現金に近いほど振れ幅が大きくなる結果となっています。
これを見るだけでも人手不足が深刻な中小店舗において、レジ決済の時間短縮は大きなプラスだと言えます。
もちろんこれはお客様にとっても、レジに行列ができにくくなることのメリットは大きいのではないでしょうか。
1日の来店者数100人
×現金とキャッシュレス決済3種の平均速度の差16秒
×月平均労働日数
=26分×20日=8時間
これだけで一月に8時間の時間短縮。もちろん現金を扱うことによる釣り銭間違いやレジ締めの手間などを考えるとさらに時間の効率化を進めることができるわけです。
国が推し進めているキャッシュレス決済の導入ですが、地域の中小企業において導入しない理由がありません。どちらにせよ日本の潮流としては、今回のキャッシュレス化によって大きく変化していくのは確実、だとしたらこのような変化を上手に捉えていくことが必要不可欠ではないでしょうか。
カリキュラム例
キャッシュレス決済を導入すると同時に売上アップ!
・単純な値上げは失敗の元
・売上アップの商品配置
・売上アップの価格設定
キャッシュレス決済を導入するとこんなにもメリットが
・国内のキャッシュレス事情
・キャッシュレス対応しないと売上は下がる!
・キャッシュレスは今後も大盤振る舞いが続く
キャッシュレス・消費者還元事業のおさらい
・中小企業・商店へのメリット
・消費者へのメリット
・そもそもキャッシュレス決済ってなに?
キャッシュレス決済に関する問題点
・キャッシュレス決済の現状
・10月以降に問題は大きくなる:導入すればOKではない!
クレジットカード決済に対応すべき理由
・海外ではキャッシュレスが進んでいる
・訪日する外国人達はキャッシュレスが当たり前
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