ChatGPT、どう使えばいい?経営指導員のためのAI活用講座
ジャイロ総合コンサルティングでは、全国の商工会議所の経営指導員の皆様を対象としたセミナーも開催しています。今回は、2023年9月6日に開催された支援機関向けのAI活用の勉強会についてレポートします。
研修概要
対象:経営指導員の皆様
開催日時:2023年9月6日(木)
開催形式:オンライン
講師:(第一部)大木ヒロシ講師、(第二部)渋谷雄大講師
今回は50名以上もの応募があった今回のセミナー。前半は大木講師、後半は渋谷講師による講義が行われました。
第一部:著者による「1/10,000マーケティング」の解説
1万人に1人が「欲しい」と言ってくれるならチャンスは広がる
大木講師の講義では、ローカルの小規模事業者が日本全国にビジネスチャンスを拡大するための戦略として「1/10,000マーケティング」が紹介されました。実はこのマーケティング手法について、大木講師の著書が出版されてばかり。実例なども交えながら、具体的な方法のレクチャーが実施されました。
参考:『ローカル・中小が日本全国に顧客を作る 1/10,000マーケティング (DO books)』※外部販売サイト
端的に説明をすると、1/10,000マーケティングとはその地方、その会社、その店舗ならではの商品・サービスを開発し、全国に向けて発信するという方法です。たとえば万人が興味を持つわけではないニッチな商品でも、1万人に1人なら「これが欲しい」と興味を持ってくれるのでは…という考え方をベースに、ローカルを飛び出して顧客を探しにいきます。
1万人に1人を東京都の人口およそ1,400万人にあてはめると、都内だけでも1,400人もの買い手が見つかります。もしお客様が年間で1人1万円ずつ購入してくれるとどうでしょうか。年商1,400万円が見込めます。
「地元で商売をして1,400人の新規顧客を探す」となると難しいと感じる方も多いかもしれませんが「全国のなかから1万人に1人が興味を持ってくれたら良い」と考えると、少しハードルが下がりますよね。これを全国に拡げると、1万2,000人もの顧客を開拓できます。これが、1/10,000マーケティングの基本の考え方です。
これって当たり前じゃなかったの!?見慣れたモノが実は面白い
では、1万人に1人のお客様に向けて、どんな商品・サービスを提供するべきでしょうか。大木講師は「ローカルならではのもの」「そこでしか手に入らないもの」にこそ魅力が宿ると説明します。
セミナーのなかで例として挙げられたのが、石臼を使ったコーヒーミル。ある地方の石材店が、本業であった墓石の加工では商売を継続していくことが難しいと判断して開発したのがこの商品でした。石材店だからこそ入手できる素材やノウハウを投入したため、価格はなんと7万円近かったそうです。ところが、物産展に持ち込むと「欲しい」というお客様が何名が現れました。
このように、これまでのビジネスのノウハウ活かせるものであったり、地域の自然環境や伝統・文化などを感じられる商品・サービスは、実は異なる環境から見たときに「珍しい」「面白い」と興味を持ってもらえる可能性が高いのです。
当たり前のように口にしている食材や、毎日の仕事で培ってきたスキルが、1万人に1人のお客様を見つけるための糸口になるかもしれません。そして、そのお客様を見つけるためにはITツールの活用は欠かせません。1/10,000マーケティングが気になった方は、本を手に取ったり今後のセミナーに足を運ばれてはいかがでしょうか。
第二部:渋谷講師によるAI活用講座
AIの使い道は2種類ある
後半となる渋谷講師の講義では、経営指導員の業務にすぐにでも取り入れられるAIの活用方法が紹介されました。
AIの活用方法は、大きく分けると以下の2つになります。
- 業務を効率化する
- 売り上げを獲得する
AIが得意とするのは、業務の効率化です。これまで時間がかかっていた業務も、一部をAIに担ってもらうことで大幅な工数削減や時間の短縮が期待できるでしょう。一方で、クリエイティブな業務は仕上がりにややバラつきがあったり、内容が不十分な場合もあります。あくまで傾向ではありますが、AIはキャッチコピーを100個の作る(数を打つ)のは得意ですが、それぞれの完成度は6割程度を見ておくと良いでしょう。
たとえばAIに任せられる効率化の一例として、セミナーでは以下が紹介されました。
- 名簿をもとに、顧客のエリア別・年齢別のシェア率をはかる
- 特定地域へのDM送付用に顧客をリスト化する
- 会議の議事録の作成、要約をすべてAIにまかせる(文字起こしサービス「notta」などを使用)
- 日本語で撮影した動画の音声部分を多言語に翻訳する
こういった効率化を目的とする業務においては、AIの特性が遺憾無く発揮されます。
AIが作った土台を人間が完成までたたきあげる
さて、AIに使ってクリエイティブな業務を任せる場合はどんなことに気をつけておきべきでしょうか。大切なのは、完成度に完璧をもとめず「AIが作るのはあくまでたたきである」と考えることです。たとえばAIにキャッチコピーを100種類作ってもらったのなら、そのなかから取捨選択をしたり、上がってきたコピーをさらに深めて新しい案の作成を依頼したりと、人間が完成の状態まで磨き上げる必要があります。
また、ChatGPTなどのチャットツールは、AIをコミュニケーションを取りながら作業を進めていくこともポイントの一つです。AIが出した答えをもとに「じゃあこれはどう?」「これをもっと膨らませたみて」と指示を出しながらアイディアを深めます。「カスタムインストラクションズ」でAIにキャラクター設定をし、それをロールプレイングしてもらうことで、顧客の目線に立った回答も可能です。
セミナーのなかでは、ローカルの焼き鳥店を例に挙げてChatGPTによるSWOT分析のデモンストレーションが行われました。(なんと、ChatGPTはフレームワークを理解しているそうです!)
AIはあくまでコンピュータのため、暗黙知を前提にして思考を深めることはできません。ただし、人間が近視眼的になり見落としてしまっているポイントを拾ったり、俯瞰の視点からのアイディアを出したりすることは得意です。
新しい技術によって、もっとビジネスは効率化できる
今回のセミナーでは、2名の人気講師がそれぞれまったく違った切り口からローカルの経営指導員に役立つ知識を伝授しました。いずれもさまざまな実例を挙げながら講義が進められたため、参加者の皆様も自分ごととして考えやすかったのではないでしょうか。
ジャイロ総合コンサルティングでは、随時経営指導員向けのセミナーを開催しています。ご興味がある方は、ぜひ一度お問い合わせください!
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