インフレ対策としての「適応型プライシング」を考える

大木ブログ講師ブログ

価格とは商品特性の一つであり、価格を戦略的に設定する
ことで「売上・粗利」ともに大幅に増加させることが
可能となります。しかし、価格設定を間違いたり、安易な
値引きを行えば経営的に取り返しのつかない状況に陥る
ことすらあり得ます。

「価格破壊」と評して「薄利多売」を標榜した大手スーパーが
破綻して久しいですが、依然として「薄利多売」が武器と
考える経営者は少なくありません。競合相手よりもさらに
安く売ればという考え方は一見合理的に思えますが、
インフレ下で需要が低迷している時には他に売上を伸ばす
方法が考え難いからだけなのです。

しかし、「価格設定」を戦略的に考える事で売上は同じでも
粗利を高める事によって経常利益を上げることはできます。
プライシング(価格設定)を戦略的に行うためには
プライシングを状況に適応させる必要があります。
すなわち、適応型プライシングということを工夫する必要があります。

■バージョニング手法
同じ商品でも所得によって値ごろ感は違うものです。
例えば、鰻丼では松・竹・梅の価格設定は珍しくありません。
ここには、価格バージョンを変化させることで多様な所得
階層を捉えるという工夫があります。例えば、松は5,000円、
竹は2,900円、梅は1,490円なら梅の割安感は大きく、
手が出やすい。梅で鰻丼の味を堪能すれば、たまには竹、
松にいく可能性も高まります。
バージョニングは顧客の所得変化に応じて対応できる
ところから、顧客のつなぎ止め効果も期待できるのです。

■値ごろ感を保つために製品を改変する
内需依存型の中小製造小売業にとって円安は原材料高となり
直接的な経営圧迫の要因となっています。こうした状況下では
「値ごろ感」を維持しつつ「粗利を高める」方法として
「量的な調整」が必要となるでしょう。
標準世帯人数は4人から2人に移り、高齢者のみ世帯が増加しつつ
あるのが現状です。例えば、以前は4人家族で400g1,000円の
ハムサラダを購入していた家庭が、子育ても終わって夫婦二人
暮らしとなった今、400gでは多すぎて買うのを躊躇します。
では、どうすべきかと言えば、一般的には二人だから
200gで半値の500円となりがちです。しかし、食べ盛りが
とうに過ぎた老夫婦に200gは多すぎ、正しくは150gで
値ごろ感のある490円が手に取り易い、という事になります。
この対応で気づいて欲しいのは、原価率に変化が無ければ
粗利率は増加するということです。小家族化、高齢化の
なかではこうした製品改変が不可欠の事となります。

※価格設定は「戦略的」に考える時代です。
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