BCP作成のポイント

セミナー講師陣の売上UPノウハウ集

新型インフルエンザの大流行が危惧されている。政府も政権交代の
混乱の中で、この危惧に対して、継続的にあるいは実効的にどの
ようにして政策実行ができるかが各方面から喫緊の課題と指摘
されている。
企業活動においても、新型インフルエンザの流行に備えた対応が
求められている。しかしながら、その備えを行っている企業は半数に
満たないとの情報がある。

BCPとは何か?

BCPすなわち、事業継続計画とは、事業を継続できない事態に備え、予め準備しておく計画であり、事態が起こる前に、その損害などが
膨大になりかねないようなリスクに備えるものである。代表的リスク
としては、大地震などの自然災害、新型インフルエンザの大流行、
海外での戦乱などが考えられる。現在、最も危惧される新型インフル
エンザ対策のBCPを例にとって、BCPの枠組みを考えてみる。

まず、新型インフルエンザの予防処置が第一のステップとなる。
第二に、社内などへの感染拡大防災である。第三に、事業継続が
困難な場合の対応処置である。

これらの内で、最も重要視され、一般にBCPと呼ばれるのは、第三の項目である。一般企業は、BCPという耳慣れない言葉に惑わされ、
特殊なもののように思われるかも知れないが、ごく通常のリスク管理
計画と考えれば良い。

まず、リスクに備えた準備項目を定義することになる。これは、人、
モノ、金、情報に層別して考えれば良い。人とは、リスクに備えた
(あるいはリスク発生時の)組織、責任者、担当者などを明確にする
ことである。

次に、経営の継続に必要な事業を明確にする。人員の確保が制限
された状況では、全ての事業を従来通り続行することは不可能に
なるので、最も経営に影響を与える事業(中核事業)を定義すること
である。

さらに、到来したリスクの程度に応じて、中核事業が受けるインパクト
の大きさを推定し、そのインパクトを回復するための手順とスケ
ジュールを明確にすることになる。あるいは、中核事業がインパクトを受けないような代替手段があれば、それも明確にしておく。
以上が、BCPの概要となる。

BCPの目的を具体的に

BCPを立案するに当たって、明確にしておきたいのが、「なぜBCPを
立案するのか」ということである。先に述べたように、リスクに備える
ということであるが、より具体的に定義しておく必要があると考える。

例えば、「売上減少が予測されるので、その影響を最小限にするため」というだけでは不足である。売上減少幅を最小にするための方策と、
事業継続のための方策とは一致しないことが想定されるからである。
事業継続という観点では、例えば次のように記述しておく必要がある。

・従業員など全ステークホルダーの健康の回復・維持
・中核事業の事業規模の維持を目指す
・中核事業の原状回復期間を最小化する

BCPは全従業員の協力が欠かせない活動を含む。目的があいまいであったり、限定されたものであれば、「会社に使われている、余分な
業務が増えた」と感じる人がいるかも知れない。このような事態を
避けるためにも、ぜひ経営者自身が自分で考えた全従業員が結集
できる目的を明確に定義したい。

BCP作成のポイント

1. 中核事業は、コアビジネスとは必ずしも一致しない

コアビジネスとは、日本語で中核事業と訳されると思うが、BCPで言う中核事業は、コアビジネスとは必ずしも一致しないようだ。コアビジネスとは、相対的に売上が大きく、投入リソースも大きい事業を言う。
しかしながらBCPの中核事業とは、縮小あるいは中断した場合に、
社内外(特に社外)に最も重大な影響を及ぼす事業を言う。
例えば、顧客の緊急の質問などに答える業務を担うコールセンターが、中核事業である企業もあり得る。 従って、言葉が持つニュアンスに
惑わされず、何が中核事業であるかについて十分に議論を尽くす
必要がある。

2. 業務フローを元に、被害回復期間の最小化計画を

中核事業(複数の場合もある)が定義されると、次に被害の大きさを
推定し、その被害からの回復期間を最小にする計画を立案する。
このような計画立案を行うには、業務フローを明確にする必要がある。 業務フローとは、中核事業の一連の業務を遂行するための、人、モノ、情報の流れを図示したものである。それらの流れ(フロー)から、被害の大きさや回復期間を最小化するには、まず業務遂行のボトルネックを明確にする。
紙面の関係で、ボトルネックの見出し方は詳しく述べないが、ダイヤ
モンド社刊「ザ・ゴール」(ゴールドラット著)などを参照してもらいたい。

3. 発生レベルに応じたメリハリを

新型インフルエンザの場合は、人的被害が最も大きいだろう。要するに、業務遂行に携わる人員の確保が問題になる。その場合には、
例えば、従業員の50%が欠勤、30%が欠勤、10%が欠勤した場合
などに層別して、BCPを立案する必要がある。50%もの人員が欠勤
した場合は、中核事業への人員投入を最優先し、そこには通常の80%は確保することし、そのために、中核事業を担える代替要員を他事業から確保する方策を示すなどである。
しかも、従業員の欠勤は予め予測できないものであるので、政府などが発表する新型インフルエンザ発生情報などを参考にして、すばやく
全社にどのレベルのBCPを発動するかの指示を行う。

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