IT支援人材育成コース(岩手県商工会連合会)の講座レポート

ジャイロ総合コンサルティングの渋谷です。
10月30日(月)は10時〜16時まで岩手県内の商工会職員対象のIT支援人材育成コース(Zoom講義)の講師を務めさせていただきました。今回は、多くの岩手県内の職員にお集まり頂きました。

デジタルとアナログをどうつなぎ合わせるか?

ITをテーマにした研修の多くが、ツールの使い方や機能説明などの概論が多いようです。地域の商工会が支援で使う目的は「地域事業者の利益を高める」ことだと思っています。

そのためにはツールの使い方よりも前に、デジタルとアナログの使い所を理解することが重要です。そして、その使い所を組み合わせて活用していくこと。

デジタルツールだけで商売ができるほど甘い世界ではなく、逆に、アナログだけで現状の商売が維持出るわけでもありません。

それぞれの特性を把握し、使い所を組み合わせていくことをまずお伝えさせていいただきました。

コーチングやトレーニングの世界に、内的意識と外的意識というものが存在します。

外的意識とは、目的を明確にすること。
内的意識とは、その目的を達成するための手段。

目的を明確にするメリットは、全体の動きをスムーズに連動させることができるからです。
人は一度にひとつの行動しかできません。ですので、ひとつひとつの作業を指示していると行動にムダやギクシャクした感じになります。

目的を明確にすることで、すべての動きをスムーズに動かすことができる。目的はひとつだからその達成に向けて動きが連動しやすくなるわけです。

そして行動していくなかで課題が見える。そこで初めて内的意識を考える。課題を個別に解消していくために部分的な改善を行っていくわけです。

そして外的意識と内的意識は順番がとても大事で、パフォーマンスを最大にするためには、外的意識からスタートし、課題がでたら内的意識で部分矯正をおこなっていく。

しかしITセミナーの多くは、内的意識を中心に解説することが多く、本来その企業がすべき行動がギクシャクしてしまう。SNSが流行っているからやる、AIを使わないと置いていかれる、そんな言葉で目的不在の状態で行動だけを促されてしまう。

だからかえって業務全体の効率が下がってしまうんですね。ITを支援する立場としては、企業の効果を最大化させるために伝える順番がとても大切ということをお伝えさせていただきました。

ここからは岩手県連でのIT支援研修のダイジェスト

DX活用は20%で良い

バリューチェーンという手法がありますが、DXというのは業務全体の中でどこをデジタル化すれば生産性が高まるか?という観点です。ですので今回の研修で考えるべきは、非効率的な業務はどこなのか?をしっかりを明確にする必要があります。

それで小規模事業者の場合は、業務全体をDX化する必要はなく、全体の20%をDX化できないか?と考えるだけで充分効果はあがりますね。

例えば、営業という業務をDX化してみましょう。

営業と言っても、3つのグラデーションに分かれます。

従来型の直接営業

従来型の営業の場合は、近隣営業や1対1の場面が成立する営業には最適です。一方で、企業の複数の決済者にアプローチしようとすると、日程調整やメンバー調整などの手間が大きくかかり、負担も大きくなりがちです。

Zoomなどのオンライン商談

Zoomによるオンライン商談の場合は、直接営業と比較すると、立地・距離の面で自由度が高くなります。一方、時間をあわせるという観点では、直接営業と同じです。
オンライン商談を実践する場面としては、複数人の決済者に同時に営業する場合や、営業先の支店が離れていて一同に介すことができないような商談ではZoom活用を考えます。取引先としてもそのほうがハードルが低くなるため営業成果は上がりやすくなります。

動画やメールなどの営業

動画やメールツールは、時間も距離も自由度が高いため、一度により多くのアプローチが可能です。一方で、不特定多数になるがゆえに動機づけが難しくなるため、効率化の面だけで活用すると成約率を大きく低下させてしまう可能性があります。

Kintoneは小回りの効く小規模事業者の味方

当社もKintoneは研修アドバイザーの業務管理で活用させて頂いていますが、業務管理アプリをノーコードで作れるサイボウズが運営しているサービスです。

ドラッグ&ドロップで簡単に企業がやりたいことを業務アプリ化できるサービスです。ぜひとも以下のリンクからデモ体験ができるのでやってみてください。

https://kintone.cybozu.co.jp/try-kintone-app-builder/

活用方法としては様々ありますが、例えば、見積・提案管理ですね。
小規模事業者の多くは、見積書や提案書はそれぞれのPCやクラウドに保存されているかと思います。担当者が休みのときに電話がかかってきてもやり取りの経緯がわからず、見積もりや提案内容も把握できていない。など、情報の共有化がうまくできずに現場が混乱することがあります。

Kintoneの場合は、スタッフ全員の見積や提案、問い合わせの経緯などを全社共有できるため、誰かが仕事を休んでも対応できるようになります。

その他、休暇申請なども小さな会社では、紙ベースで申請・承認を行っているケースも多いですが、簡単に休暇申請アプリなど作ることができます。

ChatGPTは常に横にいるアドバイザー

ChatGPTについても今回の研修では欠かせないテーマでした。AIを活用する企業と、そうでない企業では生産性に大きな差が生まれると言っても過言ではないでしょう。現在では、首都圏の企業やベンチャー企業などが使われているイメージですが、本来は、ローカルの小さな小規模事業者が活用するものだと思っています。

ひとりで経営をしていかなければならない経営者だからこそ、AIをアドバイザーとして活用していく必要があるわけです。そうすることで、今まで諦めていたような仕事もできるようになっていきます。

ChatGPTについても、GPT4V(画像認識機能)やDALL・E3(画像生成機能)など日々進化しています。

例えば先日の岩手県連で行った指導員研修では、岩手県遠野のどぶろくのパッケージ案を考えてもらう演習を実施。たった一言指示するだけで、4パターンのどぶろくのパッケージ案の提案が出てきます。

それで出てきたパッケージ案が下記です。文字はご愛嬌ですが、これからこのあたりも改善されていくのとプロンプトをしっかり指定すれば文字のコントロールもある程度はできます。

たかだか3分程度で4案の提案がでるという凄さはわかるでしょうか。例えば、この案を完成形とするのではなく、知り合いのパッケージデザイナーと具体的に詰めていくことで、自分自身のイメージに近いどぶろくパッケージができるわけです。

どぶろくのパッケージを作ろうと思って、デザイナーさんに言葉でイメージを伝えていたものを、ChatGPTに頭に思い描いているイメージに近いデザインを作ってもらってから専門家(業者)と打ち合わせをすることでイメージのズレも少なく、短時間でより良いパッケージができるのではないでしょうか。

2024年のInstagramはDMとストーリーズ

最後に、みなさんもお使いのInstagramです。10月からInstagramの責任者が代わりました。

Instagram共同創業者より 新責任者Adam Mosseri就任のお知らせ

これにより2024年のInstagramの方向性が変化すると言われています(AdamMosseriのYouTubeでも言及あり)。

具体的には「有益な情報を発信する」ことから(有益じゃないともちろんだめですが)「コミュニティベース」をより重要視するということです。

フィード投稿やリール投稿のような、情報を発信する機能がありますが、この部分よりも、ストーリーズやDMのようなコミュニケーションを活発化させるような機能の優先順位が高くなるということです。

フォロワーとの交流やエンゲージメントをどう高めるか?により重きが置かれることになります。

細かな内容は控えますが、Instagramを活用されている事業者さんは一度方向性の見直しを考える必要がありそうです。

地域の事業者にとって商工会の役割は大きい

先日の職員研修でお伝えさせていただいたのですが、日々忙しく、眼の前の仕事に忙殺されている、地域の事業者にとって商工会の役割は非常に大きいと感じています。

今回の研修のように地域外から得られる情報を、地域事業者にどのように共有し、実行に移してもらうか?結局、今回のような知識をお伝えしたとしても、それが地域事業者に共有されなければ意味はなくなってしまう。そして今回のIT・SNS・AI活用は、忙しい小規模事業者にこそ活用してほしい無いようなのです。

ご受講いただいた皆さま、ありがとうございました。

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