ツイッターを企業で活用することの難しさ

ツイッターでの口コミの速さ

 テレビやインターネットで「ツイッター」という言葉を目にする機会が増えています。「ツイッターを利用したら、お客様がたくさん来店しました」、「社員の本音を知ることができて、経営者と社員との距離が縮まりました」など、経営に役立ったという声を聞くこともあります。

 では、ツイッターは本当に経営に役立つのでしょうか。筆者は個人的な趣味としてツイッターを行っていますが、感じるのは、口コミの速さです。
ちょうど今、この原稿を書いている最中に、バラエティ番組で黒豆ダイエットが紹介されました。その直後、ツイッターでは「黒豆ダイエット」に関するつぶやきが急増したのです(番組終了直後、1分間に100を越えるつぶやきが流れました)。つぶやきの中には「明日黒豆を買いに行こう」というものも数多くありましたから、明日の黒豆の販売数が伸びることは十分に予想されます。
実際に、桃屋「辛そうで辛くない少し辛いラー油」や、グリコ「ドロリッチ」は、ツイッターで口コミが広まり、爆発的にヒットしています。

ツイッターの特徴

 ツイッターでの活用方法を考える前に、ツイッターの特徴について述べます。
ツイッターのシステムは、自分が登録している人(フォロワー)の140字以内の「つぶやき」をリアルタイムで読むことができる、というシンプルなものです。またツイッターでのやりとりは基本的に世界中の誰からも見ることができます。
ツイッターは、相手と今を共有しているという感覚を得られる点が、従来のブログやSNSには見られない大きな特徴といえます。

ツイッターは販促に役立てることができるのか

 ツイッターを販売促進に役立てるためには、「消費者と現在の時間を共有する」ことが必要です。
一例として、ソフトバンクの事例を挙げます。ユーザーから「障害者割引を行ってほしい」とのつぶやきが孫社長あてに入りました。孫社長はすぐに対応します、と返信し、その2週間後には障害者割引を開始したのです。
一方、ツイッターで定期的に自社サイトを案内する「つぶやき」を流すという販促を行った飲料メーカーがあったのですが、一方的な「つぶやき」に対して、ユーザーからの猛反発を受けてしまい、謝罪に追い込まれたという事例があります。
両社の大きな違いは、消費者とのリアルタイムでのコミュニケーションの有無にあります。ユーザーとのつぶやきに常に返答できれば、ソフトバンクのように企業イメージに向上につながりますが、一方的な情報の押し付けはマイナスとなってしまうのです。

 ツイッターを効果的な販促に活用するためには、継続的なユーザーとコミュニケーションが必須ですが、そのためには、担当者はかなりの時間を費やして、ユーザーのつぶやきに対応しなければなりません。また、ユーザーの要望に対してすぐに返答できるよう社内的な仕組みを整えなければなりません。実際に担当をつけて取り組んでいる企業もありますが、中小企業の場合、同じように行うことは無理があるでしょう。

ツイッターの現実的な活用

 現実的にツイッターを経営に活用するためには、毎日空いた時間に少しずつ行う程度でよいので、経営者自らが楽しんでツイッターを行うことです。つぶやく内容は会社に関することだけではなく、自分が今最も興味があるものなどでよいのです(ただし、企業イメージのマイナスに繋がるようなつぶやきは避ける必要があります)。
さらに、少しでも自社商品に興味を持ちそうな人へフォローを行い、気になった「つぶやき」を引用・コメントしていきます。

これを繰り返すことで社長の「つぶやき」を読む「フォロワー」が増えていきます。「フォロワー」が増えた段階で、いつもの「つぶやき」の中に自社のセールの告知を織り交ぜていきます。
注意していただきたいのは、「つぶやき」のほとんどが自社のPRとならないようにすることです。宣伝を主とした「つぶやき」に対して、フォロワーは増えていかないからです。

 ツイッターを活用して経営に役立てる!と意気込むより前に、まずはどのようなものか体感して、楽しんでみてはいかがでしょうか。

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