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労働基準法改正(2)

労働基準法改正(2)


●(前号)労働基準法改正(1)を見る

なぜ法律改正?

1.少子化の進展

この問題を考える時にまず浮かぶのが、平均婚姻年齢の高まりです。近年の晩婚化は昭和50年頃から始まっています。厚生労働省のデータによると、平成17年の平均婚姻年齢(全婚姻)は、男性:31.7歳、女性:29.4歳です。30年前の昭和50年と比較して、男性で3.9歳、女性で4.2歳ともに晩婚化が進展しています。この晩婚化が出生率の低下の主な要因と言われています。当然、その他にも将来不安や経済的な問題などもあり、晩婚化だけが少子化の原因ではありません。

しかし、過去のデータから見ると、昭和30年代から40年代にかけて日本の合計特殊出生率はほぼ一貫して2台前半を維持していましたが、昭和50年以降一度も2を超えることなく、ほぼ一貫して下落し続け、平成17年には1.26にまで低下しました(その後やや上昇)。
つまり、晩婚化とほぼ連動する形で出生率が低下していることは統計データから見ると明らかです。

そして、この晩婚化の要因の一つが、長時間労働にあるのではないかと類推されます。長い時間、会社にいると、当然プライベートの時間が少なくなります。また、休みの日には疲れて家で休養する時間にあてることも増えるでしょう。このような仕事重視の生活をつづけていくうちに、男女の出会いや、交際の時間が少なくなるなど、国全体で見た場合に晩婚化に影響を与えているという理屈です。

したがって、この法律の施行により過度な長時間労働を抑制し、結果として晩婚化の解消につなげようというのが法律改正の一つの背景です。

2.長時間労働による健康障害の多発

グローバル経済の中で企業の成長や国際競争力を優先する政策や企業経営がなされる中、企業は人件費の変動費化を行うため、パートタイム労働者をはじめとする非正規型労働者の比率を高め、就業構造を大きく変化させてきました。その結果として、表面的(全体的)には1人あたりの労働時間の短縮は着実に進んでいるかのように見えますが、実際には、パートタイム労働者を除いた一般労働者については2006年度の総実労働時間が2,024時間と、依然として労働時間は短縮していない状況にあります(毎月勤労統計調査)。一方で、年次有給休暇の取得率も1990年代前半の50%台半ばをピークとして低下傾向にあり、2006年では50%を下回っています(就労条件総合調査)。

また、厚生労働省の調査によると就業時間が週60時間以上の雇用者割合は全体の10%超で推移しています。そして、子育て世代に当たる30歳代や40歳代の男性の内、就業時間が週60時間以上の雇用者割合は20%程度と比率が高いことは注目されます。

こうした長時間労働は、心身の疲労から健康を害するおそれがあります。長時間労働と健康障害との因果関係が認められ、労災の支給決定が下される場合もあります。以下は「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の労災補償状況」の推移ですが、年間400件近くの支給決定がなされています。
(但し、すべてが長時間労働に原因があるわけではありません)

 

脳血管疾患及び虚血性心疾患等(「過労死」等事案)の労災補償状況

図1

一方、以下は「精神障害等の労災補償状況」です。こちらは近年大幅に増加傾向にあります。

精神障害等の労災補償状況

2009-08-17-101933

このように、従来はあまり認められていなかった長時間労働等を原因とする労働者災害が多発し始めていることも法律改正の背景です。

3.企業は今後

世界でも類を見ない少子高齢化や今後の人口減少の予測の中、国は我が国の経済社会の安定と発展を持続可能で確かのものにするためには、ワーク・ライフ・バランスの実現が不可欠であるとしています。そのため、今後も労働基準法をはじめとする法律改正は、“仕事と生活の調和した社会の実現へ”その方向に向かって益々進んでいくものと予想されます。当然ながら企業も、持続的な発展を目指すのであればこの方向に向かい進んでいかざるをえません。

今回の労働基準法改正は、企業にとっては大幅な人件費(時間外労働手当等)の増加要因になります。しかし、見方を変えれば、労働生産性を上げるチャンスにすることができます。例えば、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)の徹底、業務プロセス、業務方法の見直しや、パートタイム労働者やアルバイト社員の活用などです。また、早帰り日、ノー残業デー、最終退社時刻の設定、健康デー、ワーク・ライフ・バランスデー等を設けるなどしたうえで、トップが繰り返しメッセージ(ノー残業等)を発信し、社員の意識変革を迫る等の方法も有効です。これらを実施することで、今までよりもむしろ人件費が削減することも可能ですし、職場の雰囲気やチームワークが良くなったり、社員の満足度が高まり、結果として製品やサービスの品質が良くなることも考えられます。労働基準法の改正が変えられない事実であるとすれば、経営者はポジティブに考え行動するべきです。

最後に、我が国の社会が成熟していく中で、企業の社会的責任がより注目され、企業の法令等の遵守(コンプライアンス)へ取り組みに対する社会の関心と期待は高まりつつあります。企業が社会の中で生存していくためには、社会の一員として、このような関心と期待へより積極的に応えていかなければなりません。労働基準法は、最低限の労働条件を示しているに過ぎません。大切なことは、企業の経営戦略・人材戦略を踏まえつつ、社員が何を求めているのかをしっかりと把握し、それに積極的に応えていくことです。社員のワーク・ライフ・バランス実現は企業に与えられた重要な使命なのです。

 

 

 

 

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