歯科医院の経営 ~情報の感度と捉え方が歯科診療所の格差を生む~

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厚生労働省の医療施設動態調査(平成22年5月末概数)によると、2010年5月末の歯科診療所の施設数は68,303軒であり、対前月比
+58(対前年比+164)となった。緩やかではあるが引き続き増加傾向
にある。

こうした状況の中、最近では歯科診療所間の格差がより鮮明になって
来ているのが実感である。強い歯科医院は、外観や内装も綺麗い、
優秀なスタッフも多く抱え、結果として患者さんも多い。一方で弱い
歯科医院は、外観や内装も老朽化し、スタッフは辞めていき、
結果としても業績も右下さがりとなる。

ビジネスの世界では、過当競争の状況の中では、こうした経営の格差
はより鮮明になりやすい。
こうした格差が広がる大きな要因は何であろうか?
それは、情報の格差に他ならない。具体的には、情報が入る仕組み、情報の捉える感度、それを活用する能力の違いなどが、結果として
大きな業績の違いを生む。

例えば、ホームページの活用に関する情報への対応の違いを
見てみよう。

業者A:「最近は、ホームページを活用して集患を圧倒的に伸ばして
いる歯科診療所が多くなっています。5年前であれば単にホーム
ページを作成し、インターネット上にアップすれば良かったんですが、
最近はそうも行かないようです。患者さんは歯科診療所を探す場合、
グーグルやヤフーなどの検索エンジンに何個かのキーワード入力し
調べることが多いのですが、そこで上位に表示さることがインター
ネットを活用した集患の場合の絶対条件になってきているようです。
そして、検索で上位に表示されるためにはSEO(Search Engine
Optimization)という対策をする必要があるんです。先生も興味
有りませんか」

実は、このように業者Aからの情報に対して、どのように感じ、どの
ように考え、どのように判断し、どのようなアクションをとるかによって、
経営の成果に違いが生じる。

[1]歯科医甲:「へえ~、確かこの前の歯科医師会でB先生もそんなことを言っていたな。でもうちの医院はまだホームページも作っていないし、ほとんど紹介で患者さんが来るから、今のところは関係ないか」

[2]歯科医乙:「確かに、最近SEOという言葉は良く聞くが、資金はどのくらいかかるんだろう?しかし、今はそんなことに資金を掛けている
余裕はないので、またそのうち自分で調べてみよう」

[3]歯科医丙:「ホームページは、数年前に作成しインターネット上に
公開している。定かではないが、最近ホームページをみて来院した
という患者が減っているような気がするな。早速、我が医院の現状と、
近所の歯科のホームページの検索順位などを調べてみよう。また、
業者に聞くだけではなく自分でもできる限り、調べてみよう」

さて、[1]の歯科医甲、[2]の歯科医乙、[3]の歯科医丙のこれらの情報に対する感度や情報活用力はどうだろう。良い悪いは別として、それぞれみてみる。

[1]の歯科医甲さんのような感度では、厳しい競争環境の中、今後の
経営が心配だ。経営環境は常に変化する。今は紹介で患者さんが
来てくれているようだが、近隣にライバルの歯科医院が開院でも
すれば一挙に状況が悪化することも考えられるからである。経営は
常に先手先手で行なうことが必要だ。現在や近い将来の状況を
しっかりと見極めし対応を検討するべきである。せめて、業者Aに
もう少し詳しく聞くくらいの姿勢は欲しいものである。

次に、[2]の歯科医乙さんは、資金のことを気に掛け、情報を遮断する姿勢をとっている。これも経営の視点からすると問題がある姿勢と
言える。つまり、自身の歯科医院の外部環境である競合歯科医院の
状況や、内部環境である来院数や業績の傾向からみて、どうしても
必要であると判断すれば人・モノ・カネ・時間という経営資源を積極的に投下することも選択肢の一つとなる。借金をしてでも投資が必要な場合も経営判断としてありうる。何も調べずに、資金的な理由だけで情報のチェックを先送りする姿勢はあまり好ましいとは言えない。

最後に、[3]歯科医丙さんは、経営者として情報に対する姿勢が非常に良いといえる。現状を把握しようとする姿勢(これも情報の活用力で
ある)や、業者の話を鵜呑みにせず自ら積極的に情報収集しよう
とする姿勢も評価できる。

繰り返しになるが、昨今のような過当競争の状況の中では、経営の
格差は鮮明になりやすい。これは歯科医院にも当てはまる。そして、
その格差を決める最も根源的な要因は“情報の格差”に他ならない。
まずは、情報の入る仕組みを整えるとともに、情報の感度や対応力を磨こう。これが貴方の歯科医院の明日を決する重要なメッセージ
である!

最後に、情報は活用してこそ価値がある。つまり、本コラムに記した
情報収集から情報活用までの一連の流れが完結して初めて情報に
意味が出ることも付け加えたい。

 

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