チーム力の発揮に必要なこと

西村ブログセミナー講師陣の売上UPノウハウ集講師ブログ

良く言われることに、『個人の力とチームの力は異なる』ということがある。経営者個人に
どれほど能力があっても、企業経営の世界で成功するとは限らない。事業環境が複雑
情報が錯綜する昨今の経営においては、重視されるのはチームの力だということだ。
また、
優れた個人プレイヤーがいかに多数結集しようとも、ビジネスの世界ではうまく
いくとは
限らない。それだけビジネスの世界は複雑と言えるのだろう。

音楽家や作家などの世界では、個人の能力やスキルが全てを決する。しかし企業経営の
世界では、優れた個人能力やスキルを有する経営者が順調に事業を伸ばすことは、
むしろ例外のような気がする。創業者であるカリスマ社長の元で業績を伸ばしている
企業には、必ず規模の上限が存在する。その理由は、創業社長に必要な能力と、
チームとして企業業績を伸ばす能力が異なっているからだ。

ビジネスの世界で求められる個人能力とは、①事業アイデアを発案する発想力、
②勇気をもって新分野に挑戦するチャレンジ精神、③何があってもあきらめない
粘り強さ、④着実に行うべきことを素早く処理する能力、などだろうか。これらの
能力を持つ創業者であれば、一定の成功を収めることは可能だろう。しかしながら、
このような個人能力を持つ経営者が事業を立ち上げたとしても、さらに事業を
大きく育てる段階になると、次の限界が存在する。すなわち、①視野の限界、
②支援の限界、③思いの伝達の限界、④メンバーの離反による限界である。

①視野の限界
経営規模が大きくなると、事業内容は多岐にわたる。顧客獲得とその維持、生産・
サービス内容の向上、メンバーの採用・評価などを果断なく実行する必要があるが、
時間的にも、求められる能力の違いによっても、これら多岐にわたる事業内容を、
一個人だけでこなすには無理がある。要するに、多岐に渡る事業内容、あるいは
業務内容の全てに目を配り、一人でこなすには限界がある。

②支援の限界
経営者がスキルに劣るスタッフを支援することで、視野の限界を乗り越えることが
できそうだが、それもかなわない場合が多い。創業者が持つ能力やスキルを持ち
合わせていないスタッフを支援することは、経営者自身が業務を行う場合よりも、
より時間を要するし、複雑な業務では支援し切れないということになる。一般に優れた
能力を持つ人は、時間をかけて人に教えるくらいなら、自分で行った方が早いし
確実だと考えがちだ。それでは、マニュアルなどを整備して、誰でもできる業務処理
とすることがあり得るが、単純な工程処理ならともかく、多様な業務では、マニュアル
などを整備することに多大な労力が必要になる。しかも、複雑なマニュアルを理解し、
使いこなすには、スタッフにも相当な力量が必要となる。

③思いの伝達の限界
経営者が持つ事業への意欲や思いは、スタッフに伝わっていない。普通のスタッフは、
仕事を無事にこなして給料をもらうことに意義を見出している。それは非難できないし
当然の帰結だ。強い口調で、『この事業を成功させると、君たちの給料が増えることに
なるから頑張ってくれ』と強調しても、スタッフには心には容易に響かない。そもそも、
自身で発案し、人生をかけて事業に取り組む経営者と、給料と引き換えに他人が考えた
事業の業務の一部の役割を行うスタッフとでは、事業にかける思いのレベルに
大きな差がある。

④メンバーの離反による限界
人は派閥をつくる。気が合う仲間には、何でも話せるが、気が合わない仲間には、
コミュニケーションの機会さえ怠りがちだ。例えば、10人のスタッフがいたとして、10名の
スタッフが全員、経営者と意思疎通ができることはあり得ない。せいぜい3人との円滑な
コミュニケーションが図れるに過ぎない。逆に、その3人のスタッフとは、大げさに言えば
敵対的な関係になり得ることもある。敵対的なスタッフは離反する。したがって、離反した
スタッフには、重要な業務は任せられない、ということにつながる。

このような、事業を育てるに際しての様々な限界を打ち破るには、個人能力以外の
チーム力を発揮するための別のスキルや行動が求められる。人を見出し、人を育て、
任せて、信じることが重要となる。人を見出すとは、④「メンバーの離反による限界」で
述べた、円滑なコミュニケーションができる数少ないスタッフを見出すことだ。最初は
一人でも良いので、ともかく信頼できる人を見出すのである。次に、その信頼できる
スタッフを徹底的に育てることになる。育てるには、仕事を任せることが必要だが、
任せきりにしない。押しつけ口調でない助言と、都度結果を報告させることが求め
られる。最後の「信じること」が実は最も難しいかも知れない。人を信じることとは、
何があっても納得することだ。たとえ失敗しても、信じた限りは、自分に責任がある
と考えることが必要になる。

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