創業を考える(第7回)

時代(ニーズ)からズレを生じた旧型のビジネスモデルは下りのエスカレーターに
乗っているようなものであり、上にあがろうとする努力をむなしいものにしている。
一方、新型のビジネスモデルにとって時代は上りのエスカレーターとして作用する
ことになり、努力は倍以上のプロフィット(利得)をもたらし、場合によっては
労せずとも益を得ることを可能にしている。

要するに、時代の変化が新ビジネスモデルにチャンスを、旧ビジネスモデルに危機を
投げかけているのであり、そこでは急速な新旧交代が始まりつつある。

既存の事業者と比して資金も経験も決して豊かとはいえない新規起業者にとって、
勝てる可能性が高いのが新旧交代期の今なのである。

しかし、現実には、国民生活金融公庫(調査対象は同公庫の融資先2181社)が、
01年に新規開業した企業(9業種)の存続状況を追跡調査したところ、03年末
時点で全体の8.4%が廃業していたという。要するに、事業的に継続できなかった
のであり、敗退したのである。

廃業率が最も高かったのは飲食店で12.3%、次いで小売業が10.8%と、
新規起業者の10人に1人以上の驚くべき高率で廃業を余儀なくされている。

国民生活金融公庫で融資を受けるには、しっかりとした事業計画書に加えて
開業資金の50%程度の自己資金が必要にもかかわらず、である。

平均的に1500万円前後と見られる開業費用で考えると、700万円を超える
自己資金をふいにし、それを超える借金を抱え込んでしまった結果が想像できる。

前述したように公庫での独立開業にともなう借り入れには「事業計画書」と「自己
資金」が必要であり、それらを準備、そして事業を計画できたことは新規の起業者
としての水準は高いと見ざるを得まい。こうしたハイレベルの起業者で1割を超える
敗退者が出ている現状を見ると、全般的には遥かに多くの起業失敗者が出ている
可能性が高い。

同公庫の調査結果でもう一つ興味深かったのは、フランチャイズチエーン
(FC)に加盟した企業の廃業率が14.4%と、FC非加盟の企業の
廃業率7.8%より倍近く高かったことであり、加盟企業の業種・業態別で
見ると、「コンビニエンスストア」「パソコン教室」に短期間での廃業が
目立った。

これは、既にサチュレーションポイント(飽和点)に達した既存業種・業態、
いわゆる旧型ビジネス分野では、資金的にも経験的にも劣る新規起業者が
圧倒的に不利な戦いを強いられている、ということを示している。

 

 

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